オンタリオの日記帳

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【読書レビュー】わたし、定時で帰ります。

 

わたし、定時で帰ります。 (新潮文庫)

わたし、定時で帰ります。 (新潮文庫)

 

 

徹底的にリアリティを追求した小説だと思う。

小説というよりはドラマや映画に向いてそうな

ストーリーではあると思う。

 

定時で帰るときの心情の描写が素晴らしい。

「わたしって仕事してないように思われるかも」とか

「わたしって仕事を他人に押し付けているのかも」とかは

筆者もそう思うことがあります。

 

ほんとは大した影響などあろうはずがありませんが、

帰り際には感じてしまうものです。

 

ただ、定時で帰ることに拘っていた筆者が

なし崩し的に残業を強いられていく様は、

ちょっとがっかりでもあると思います。

(そこは貫いてほしかった。)

 

私が特に注目したのは福永という人物です。

人に悪いところを見せられない、

人につけいるのがものすごく上手い人物です。

むしろこの主人公のようなタイプよりも、

このタイプの方が実際の世間には多いかと思います。

 

「悪いようにはできないから」といってメンツをたて、

他人に犠牲を強いるような生き方には賛成できません。

(「お断りします」という一言が言えない人に

このタイプが多いと思う。)

私の過去の経験からいっても、このタイプの人に

出会ってしまいました。

だから、この手の人物が自分の上になってしまった場合は、

勇気を振り絞って辞めるか、辞めさせるかしかないと思います。