【読書レビュー】わたし、定時で帰ります。
徹底的にリアリティを追求した小説だと思う。
小説というよりはドラマや映画に向いてそうな
ストーリーではあると思う。
定時で帰るときの心情の描写が素晴らしい。
「わたしって仕事してないように思われるかも」とか
「わたしって仕事を他人に押し付けているのかも」とかは
筆者もそう思うことがあります。
ほんとは大した影響などあろうはずがありませんが、
帰り際には感じてしまうものです。
ただ、定時で帰ることに拘っていた筆者が
なし崩し的に残業を強いられていく様は、
ちょっとがっかりでもあると思います。
(そこは貫いてほしかった。)
私が特に注目したのは福永という人物です。
人に悪いところを見せられない、
人につけいるのがものすごく上手い人物です。
むしろこの主人公のようなタイプよりも、
このタイプの方が実際の世間には多いかと思います。
「悪いようにはできないから」といってメンツをたて、
他人に犠牲を強いるような生き方には賛成できません。
(「お断りします」という一言が言えない人に
このタイプが多いと思う。)
私の過去の経験からいっても、このタイプの人に
出会ってしまいました。
だから、この手の人物が自分の上になってしまった場合は、
勇気を振り絞って辞めるか、辞めさせるかしかないと思います。