風の歌を聴け
おそらく14年ぶりぐらいに読み返した。
昔よんだときは「なんだか意味不明だな」と思ったりしたものだが、
今回はなんとなく全体的な雰囲気は分かったような気がする。
「風の歌を聴け」に限らず、
村上春樹の初期の小説は、「何かを失い続ける」主人公
という前提条件がある。
私自身が30歳目前という状況なのだが、
自分の周りの人がどんどん疎遠になっていっている。
結婚する人も出てくるので、ある意味そのような流れは
致し方ない部分もあるとは思う。
しかし、私は他人を意図的に遠ざけているので、
その傾向をますます加速させてしまっている状況にある。
友達と呼べる人はいなくなってしまった。
それは悲劇的なことかもしれないけど、
長い目で見ればいつかは訪れるものかなと思う。
死ぬまで友達がずっと一緒にいる
という人生もありかもしれないけど、それはそれで
息苦しそうな気がする。何よりも、死ぬまでずっと友達
というのは、相当な田舎でもない限り、ありえないと思う。
自分の上を様々な人が通過していったが何も残らなかったと
主人公は29歳で回想するのだが、非常に共感できてしまう
自分がいる。情けないというか、なんともいいがたい感情になる。
とはいえ、今この瞬間が大事なわけなので、
いろいろやってみれば新しい出会いもあるのかなとも思う。